『書燈』 No.23(1999.10.1)

前記事⇔⇔次記事

大学図書館雑感    
—カウンターの内側から—
    
大学院地域政策科学研究科 尚  得志   

 私にとっての大学図書館は非常に神聖な存在である。中国では大学進学率が非常に低いので入試の準備に四苦八苦してやっと大学に合格して、始めて大学図書館の門に入った人々の心境は実に感無量であり、大学図書館は彼等にとって憧れの聖地である。

 多くの大学生にとって余暇を大学図書館で過ごすことは極普通のことである。そのため図書館はいつも混んでいて、早く行かないと椅子さえ確保できない恐れもある。中国の大学生は殆どキャンパス内の寮に下宿しているので、夜図書館の閉館時間も九時半とか十時とか比較的遅い。閉館時間になってもズルズルとすぐ帰らない人もいるが、この点においては日本人も同じ、もしかしたらこれは万国共通?

 福島大学の図書館カウンターで仕事してあっという間に一年が過ぎようとしているが、最初に驚いたのは館内利用者数は多かったり少なかったり非常にアンバランスのことである。特にときには土曜日の早朝になると広い図書館に職員含めて十数名しかいないこともあり、電気代のことを考えると本当にもったいない気持ちでいっぱい。

 イメージから言うと勉強意欲においては中国大学生の方が積極的であるかもしれないが、図書館のルール守りにおいては日本人大学生の方が良いと思われる。周りの読者に迷惑をかけないような心遣いがなければ図書館を利用する資格が無いというのはあくまでも私個人の主張であるが……

 ちょっと気になることを二つ言いたいと思う。一つは最近パンや飲み物等の食品を館内に持ち入りする人が増えている傾向が目立っている。図書館は食堂ではないので、館内飲食を止めてほしいと思う。

 もう一つはカウンターに来る一部の学生は本を渡してから後は黙ったまま待つだけで、何しようと思っているのか全然分からない。カウンター係の職員や助手に自分の意思を伝えることはサービスを受けるための最低条件であるので是非協力してもらいたい。たとえ一言でもいい:“返却します。”とか、“貸出しお願いします。”とか。図書館を利用することは何も恥ずかしいことが無いので勇気を持って自分の意思を堂々とお伝えください!

 図書館をどんどんご利用ください! あなたの知らない世界があなたをいつでも待っているのよ!

gakujo@lib.fukushima-u.ac.jp

書燈目次へ