福島大学附属図書館報 『書燈』 No.28(2002.4.1)

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学内教官著作寄贈図書の紹介 

『にっぽん野球の系譜学』 青弓社 2001.7
 坂上 康博著 (行政社会学部教授)

 この本にはいろんな思いがつまっている。まず第1に、野球小僧たちの名誉回復!

 アメリカから輸入されたベースボールに武士道や武道精神を染み込ませ「日本野球道」に変質させた犯人、それが一高野球部や学生野球の父=飛田穂洲たちだといわれてきた。しかし、それはちがう。こうした評価はあまりに一面的で公平さに欠く。このことが言いたかった。

 第2に、ちょっとオーバーな言い方になるが、私たち日本人を縛っている価値観を見つめ直し、21世紀の進行方向を展望すること。もちろん「野球を通して」ということなのだが、それは他でもないぼく自身の価値観を見つめ直すことであり、そのためにこの本では、ぼくの小学校時代の教科書やマンガ、そして福島大学の学生のみなさんの意見も紹介させていただいた。いっしょに考えてもらえれば嬉しい。

(請求記号783.7/Sa39n)

 

『構造改革下の地域振興』 藤原書店 2001.10
 下平尾 勲著(経済学部教授)

 地域経済は三つの大きな変化に直面している。第1は財政赤字を背景として経済効率という尺度で行財政改革、広域合併、地方分権などが推進されていること。第2に資本、技術の国際的な移動と市場開放政策が加わり、地域経済は国際化の渦に巻き込まれていること。第3に不況下の規制緩和と構造改革は構造的失業者の発生と地域経済の解体を推進していること。これらの急激な社会経済的な変化にしっかりと対応しながら、地域は、自立化と再生産をいかに図るか、地方自治の精神の涵養、制度の確立、地域を担う人材をどのように育成するかが課題になっている。このような問題意識をもって地域の現状に即して、①激変する環境、②産業おこし運動、③中小企業基本法改正、④高速交通体系の整備、⑤産学連携の諸問題等を論じた。地域に存在する優れた条件を評価し、弱点や欠点を克服するために何をすべきかという地域の原点に立って振興策を提起した。

(請求記号601.1/Sh51k)

 

『ふくしまの地下水』 歴史春秋社 2001.9
 中馬 教允著 (行政社会学部教授)

 おいしい水、安全な水を求める人が増加している。おいしい水とはどのようなものか、安全性を示すともいわれる基準値はどのように理解したらよいのか、おいしい地下水はどのような生い立ちをもっているのか、この書はこんな話題からはじまっている。

 良質、かつ豊富であった福島県の地下水は、いま、発ガン性などを有する化学物質によって汚染され、資源としての価値が急減してきている。地下水ばかりではない、大地そのものが汚染されているのである。土地や水の汚染は、土地の売買や産業活動などに制約を加えている。本書の核心ともいえる部分では、汚染の実態を具体的なデータに基づいて紹介するとともに、汚染を除去して住みよい県土にしていくことを、制度面にも踏み込みながら提案している。いま生あるものが、新しく生まれ出るものが健やかにくらせる環境を創りだしていくために。

(請求記号090/R25r/8)

 

その他の学内教官著作寄贈図書リスト

書  名 出版社 出版年 著  者 請求記号 所  在
磐梯火山と湖の生い立ち 文化書房博文社 1988.12 磐梯盆地団体研究グループ編著 094.5/I54B 学内刊行物コーナー
生きるということ

人生の価値

PHP出版

PHP出版

2001.12

2001.8

飯田史彦

飯田史彦

159/I26e

159/I26j

学内刊行物コーナー

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