福島大学附属図書館報 『書燈』 No.31(2003.10.1)

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留学生から見たカナダ・ビクトリア大学図書館の謎
経済学部 4年 新関剛史

 私は平成14年度経済学部交換留学生として、10カ月間カナダのビクトリア大学(University of Victoria)というところに留学していました。大学のあるビクトリアはカナダ西海岸のバンクーバー島という島の南端に位置していました。島ということで自然は豊かで気候も温暖、住民はほとんど高齢者か学生ということで、学問に励む場所としては最高のところだと思います。ご存知の方も多いかと思いますが(実は私は留学するまで知りませんでしたが…)、カナダは昔イギリスとフランスに占領されていました。フランスに占領されていた地域は現在のケベック州となり、フランス語が公用語として話されていることは有名だと思います。その一方で、ビクトリアはイギリス軍によって支配されていたので、町並みや英語もイギリスの影響を強く受けた町と言えると思います。しかし、私がカナダに到着して2日目の7月1日はカナダの日(Canada Day)でたくさんの人がカナダの国旗とともに歩いているのを思い出すと、現在は愛国心あふれる多くのカナダ国民によって成り立っている一国家なんだなという思いを感じさせます。

 さて、そろそろ本題の図書館事情に入りましょう。私は9月からの正式入学に備え、早めに留学して2カ月間ビクトリア大学付属のESL(語学学校)で英語を勉強していたのですが、大学図書館との出会いを果たしたのはその頃です。ESLのあるクラスで、Library Test(図書館テスト)という課題が出されました。先生の話によれば、ビクトリア大学の全学生(ESL生も含む)はそのテストで90点以上取らないと図書館での貸し出しは一切認められないということでした。海外にはそんなシステムがあるんですね〜。純粋な私はとりあえずテスト勉強に励みました。内容は本の背表紙についている検索ナンバーの読み方だとか本や雑誌の検索方法などなど。日本にいた頃、図書館を利用することはあっても本を借りたことが皆無に近い私にとってはなかなか難しいものがあり、3度の受験でようやくパスすることができました。ところがこのテスト、後々友達のカナダ人に聞いてみたところ、テストの存在すら知らないということです。うーむ…。これはLibrary Testと見せかけて、実は単なるESL用の英語テストだったのではないでしょうか。そういえば、出てきた単語もESLで習ったばかりのものが多かったような……。謎です。

 図書館についてはもう一つ面白い話があります。Canadian Business Environment(カナダビジネス事情)という授業をとっていた時のことです。レポートの課題が出たため、私は参考文献として5冊の本を借りていました。無事レポートも完成して気が緩んでいたのか、うっかり本を返却するのを忘れてしまっていたのです。結局1週間ほど返すのが遅れてしまったのですが、その罰金がなんと80カナダドル(日本円で約6,400円)<CODE NUM=0235> 北米の大学では返却が遅れるとペナルティとして罰金があることは知っていましたが、こんなにも高いものだったとは!と気がついたのもあとの祭り。渋々財布を取り出してお金を支払おうとしたその時、「君は初めてのペナルティだから24ドルでいいよ。」と図書館員さん。なんていい人でしょう! 私が30ドルを払うと、彼はピピッピっと慣れた手つきでレジから6ドルのお釣りをくれました。そう、図書館のカウンターにはレジがあるんですね〜。コンビニみたいで奇妙な光景です。それにしても今考えると、彼にディスカウントする権限があったのか、そしてなぜ24ドルだったのか……、謎です。

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