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推薦図書 > H24年度推薦文 |
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3-1.推薦者: 神子 博昭 |
息のブランコ
ヘルタ・ミュラー著 ; 山本浩司訳 -- 三修社 , 2011. ...OPAC確認
請求番号:943/Mu29i |
先生からの推薦文
<<飢えの現象学>>
20世紀は強制収容所の世紀であり、またそれを記録した世紀でもありました。フランクル『夜と霧』、
ソルジェニーツィン『収容所群島』などがすぐ皆さんの頭に思いうかぶでしょう。シベリア抑留から
生まれた石原吉郎の痛々しい詩や回想も忘れられません。
これは小説です。ヘルタ・ミュラー自身は収容所の経験はありません。彼女は戦後ルーマニアに残留
したドイツ人家庭に生まれました。ソ連軍は自国の復興のため、その地のドイツ人、とくに若者をロシア
に連行し、強制労働に従事させました。その経験の聞きとりをもとに、彼女は小説を作りあげたのです。
事実の重みに、どれだけ虚構のことばがつりあえるか。彼女は収容所の体験を飢えという一点にしぼります。
ここには「息のブランコ」「申告草」「ハートのシャベル」「飢餓天使」などという奇妙な造語がいくつも
埋めこまれています。それらは、いわば読むひとの口のなかで、味気ない砂にまじった礫のように、硬く
きしんだ音をたてるのです。 |
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3-2.推薦者: 佐野 敦至 |
ふかいことをおもしろく: 創作の原点
 井上ひさし著 -- PHP研究所 , 2011. ...OPAC確認
請求番号:910.26/I57f |
先生からの推薦文
井上ひさしという作家は遅筆堂と綽名され、脚本が間に合わずに芝居の公演がキャンセルされることも
一度や二度ではない。また家庭内暴力で奥さんに逃げられたという噂もあるなど、あまり褒められたもの
ではない。にもかかわらず、この作家には大変な魅力を感じる。われわれから見れば決して幸せとはいえ
ないような環境で育ちながらその経験をもとに、さらりと面白おかしく話を作り上げてしまうのだが、
よく読めばそこには「ふかーい、ふかーい」意味があるのだと思う。作家がインタビューにこたえて自ら
の創作の原点を語った本書はそれ自体読む価値があるし、これをきっかけに氏が遺してくれた膨大な数の
作品を手に取ってくれれば、推薦者として嬉しく思う。 |
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3-7.推薦者: 沼田 大輔 |
環境ビジネスと政策: ケーススタディで学ぶ環境経営
馬奈木俊介, 豊澄智己著 -- 昭和堂 , 2012. ...OPAC確認
請求番号:519.1/Ma43k |
先生からの推薦文
日本・世界は、気候変動をはじめとする環境問題を克服するために、環境負荷を大幅に削減することが求められている。
そして、政策もこのような方向に動きつつある。このことは、環境負荷を削減する技術や製品・サービスに大きな需要
が生まれうることから、企業にとってはビジネスチャンスでもある。本書は、この環境政策とビジネスの関わりを、様々な企業の例を取り上げながら、描き出している。取り上げられて
いる事例は、エコカー、再生可能エネルギー、ペットボトル、携帯電話、間伐材を使った割り箸など幅広く、そして、
いずれの例もユニークで示唆に富むものばかりである。大学生の皆さんには、本書を通じて、環境政策と環境ビジネスのダイナミズムに触れた上で、社会に出てほしい。 |
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3-10.推薦者: 沼田 大輔 |
グッズとバッズの経済学: 循環型社会の基本原理
細田衛士著 [第2版] -- 東洋経済新報社 , 2012. ...OPAC確認
請求番号:518.5/H93g |
先生からの推薦文
本書の初版は1999年に刊行され、経済学で言う財(goods)と対比させる形で、廃棄物をバッズ(bads)と捉え
、経済学の切り口で、理論や制度の話を適度に取り入れながら、経済学を学んだことがない人にも分かりやすい
語り口で書きあげられていた。かく言う私は、大学生のときにこの本に出会い、廃棄物を経済学の観点から
考える研究、そして、環境経済学に踏み出すきっかけを、この本は与えてくれた。初版から10年以上が経ち、制度等もさまざまに変化してきている。第2版は、初版のコンセプトを維持しつつ、
制度や現場の新しい変化等に対応したものとして改訂されている。本書を通じて、バッズの切り口で経済学を活用
して廃棄物問題にアプローチすることで、環境経済学の面白さを知ってほしい。 |
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