『書燈』 No.25(2000.10.1)

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図書館は出会いの宝箱 -カウンターの内側から-
教育学研究科 高橋秀幸

 4月から図書館のカウンターとして本に触れることが多くなり、自分の本に対する考え方も大きく変わってきました。私の図書館の今までの利用機会といえばレポート作成のときだったり試験勉強だったりとあまり有効活用しているとはいえません。その私が図書館のカウンターとして本の貸し出しをしていると、実に毎日が驚きの連続なのです。

 皆さんは図書館を利用するときに、必要な本を頭のなかにイメージして探す場合が多いと思います。しかも今はコンピュータで検索できるので、必要な本は高い確率で手に入れることができます。しかし、その必要な本とは自分にとってごく一部の本に過ぎないのではないかと考えるようになりました。どういうことかというと、図書館というところは実に豊富なジャンルと数がそろっているため、なんとなく本棚を見ているだけで「あっ、実はこんな本もあったんだ!」というような運命の出会いを果たすことがあるのです。

 図書館のカウンターでたくさんの本の貸し出し処理をしますが、学生さんが持ってくる本をみると「実はこういう本を探していたんだ」という発見や、「こんな本もあったんだ」といった驚きがかなりたくさんあります。これはまるで利用する学生の皆さんが、私に「こういう本がありますけどいかがですか」と紹介しているかのようです。

 本との出会いは人との出会いに似ていると思います。私も大学院生になり本との出会いの輪を広げたいと思い、たまにブラッと図書館に足を運びます。そのときは特定の本を探すのではなく、本のタイトルをながめながら様々な本との出会いを楽しみます。私が大切にしている言葉のひとつに“IT’S UP TO YOU”(あなた次第)という言葉があります。これは、何事においても自分の心次第で楽しくもつまらなくもなるということです。図書館の中もまさに「あなた次第」といえるでしょう。

 本は皆さんとの出会いを待っています。もし暇なときには本との出会いを楽しんではいかがでしょうか。私も図書館のカウンターとして、皆さんのお手伝いをしたいと思います。

gakujo@lib.fukushima-u.ac.jp

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