福島大学附属図書館報 『書燈』 No.30(2003.4.1)

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公共図書館職員と共に
「地域・地区内コンソーシアム」について話し合い
—第9回福島県内大学図書館連絡協議会実務者研修会報告—

 標記研修会は、11月29日(金)、公共図書館職員5名(市立2館、町立3館)を含め17館総数24名の参加のもと、本館会議室を会場として開かれました。県内の公共図書館職員と大学図書館職員が一堂に会するのははじめての機会で、活発な討議・意見交換が行われました。

  二つの話題提供を受けて討議を進めました。  午前中には福島大学附属図書館の小椋正行さんから、当館の学外者利用についての経緯、ここ5年間の学外者利用の実態が数値をもとに話され、相互利用の拡大のためには、所蔵資料の横断検索の実現、県内版ILL方式(料金相殺)の確立、町村の公民館の参加による窓口の拡大等が必要であることが他県コンソーシアムの例を引きながら提起されました。

  また、コンソーシアム内の協力内容として、共同購入、レファレンス、保存分担、相互研修などが検討対象となるだろうとの指摘がされました。

  午後には福島県立図書館の三浦寛二さんから、公共図書館の相互協力の中心は現物貸借であり、それはNDL総合目録ネットワークを介して行われていること、現物貸借の送料負担は貸借関係館によって異なること(県内大学に貸出す場合は県立図が片道負担)が報告されました。

  また、連携の内容として、公共図書館では対応できないレファレンス、相互利用制度の継続・活発化、研修会の共催などがあることが話されました。

  話題提供を受けた討議では、相互貸借の前提となる横断検索がぜひ必要であること、料金相殺制度はメリットがでるほどの件数(約200件)ではないのではないか、「共通利用証」はぜひ継続してほしいこと、地区内での協力体制がすでに組まれて運用されていること(例えば、田村郡内3館(船引・岩代・三春)の相互乗合)などの意見が出され、情報が提供されました。

  また、地区内協力組織として、いわき明星大学図書館からは、相双地区をも加えた「浜通りコンソーシアム」(仮称)をぜひ作りたいとの意向が表明されました。

  福島県内大学図書館間相互利用制度における「共通利用証」について、その発給条件(研究者の認定)がまちまちでいろいろな混乱をもたらしているとの訴えがあり、県立図書館が参加館と調整することになりました。

  最後に、事務局館から、本日提起・表明された考え・意見を整理し、福島県図書館協会とも相談しながら地域・地区内コンソーシアムの拡充に向けてより具体化していきたいとの方向が示されました。

  その後にもたれた意見交換会では、福島大学附属図書館の河野忠市さんが、パワーポイントを使ってメタデータ・データベース(GeNiiを通じ提供されるインターネット上の学術情報DB)などについて説明し、関心を集めました。 

(図書館専門員 渡辺武房)         

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